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ふたばていよだん

新編 思い出す人々

内田 魯庵

内田魯庵『新編 思い出す人々』。同一底本的分册已合并为一书。收入:二葉亭余談、淡島椿岳、鴎外博士の追憶、硯友社の勃興と道程、最後の大杉、斎藤緑雨、三十年前の島田沼南、美妙斎美妙、二葉亭四迷、二葉亭四迷の一生、二葉亭追録、明治の文学の開拓者、四十年前、露伴の出世咄。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 215,401 字 · 427 页

青空文庫

は談林の病処を衝いた痛快極まる冷罵であった。

緑雨が初めて私の下宿を尋ねて来たのはその年の初冬であった。当時は緑雨というよりは正直正太夫であった。私の頭に深く印象しているは「小説八宗」であって、驚くべき奇才であるとは認めていたが、正直正太夫という名からして寄席芸人じみていて何という理由もなしに当時売出しの落語家の今輔と花山文を一緒にしたような男だろうと想像していた。尤もこういう風采の男だとは多少噂を聞いていたが、会わない以前は通人気取りの扇をパチつかせながらヘタヤタラとシャレをいう気障な男だろうと思っていた。ところが或る朝、突然刺を通じたので会って見ると、斜子の黒の紋付きに白ッぽい一楽のゾロリとした背の高いスッキリした下町の若檀那風の男で、想像したほど忌味がなかった。キチンと四角に坐ったまま少しも膝をくずさないで、少し反身に煙草を燻かしながらニヤリニヤリして、余り口数を利かずにジロジロ部屋の周囲を見廻していた。どんな話をしたか忘れてしまったが、左に右く初めて来たのであるが、朝の九時ごろから夕方近くまで話して帰った。その間少しも姿勢をくずさないでキチンとしていた。