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ふたばていよだん

新編 思い出す人々

内田 魯庵

内田魯庵『新編 思い出す人々』。同一底本的分册已合并为一书。收入:二葉亭余談、淡島椿岳、鴎外博士の追憶、硯友社の勃興と道程、最後の大杉、斎藤緑雨、三十年前の島田沼南、美妙斎美妙、二葉亭四迷、二葉亭四迷の一生、二葉亭追録、明治の文学の開拓者、四十年前、露伴の出世咄。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 215,401 字 · 427 页

青空文庫

『浮雲』時代の日記に、「常に馴れたる近隣の飼犬のこの頃は余を見ても尾を振りもせず跟をも追はず、その傍を打通れば鼻つらをさしのべて臭ひを嗅ぐのみにて余所を向く、この頃はを食する事稀なれば残りを食まする事もしばしばあらざればと心の中に思ひたり、ただこう思ひたるばかりにてさして心に留めざりしかど何となく快からず」とあるは犬に与える残にだも不自由をして懐いた犬に背かれたのを心淋しく感じたのであろう。

『平凡』の中の犬の一節は二葉亭の作中屈指の評判物であるが、あれは仲猿楽町時代の飼犬の実話を書いたものである。あの行衛知れずになった犬というはポインターとブルテリヤの醜い処を搗交ぜたような下等雑種であって、『平凡』にある通りに誰の目にも余り見っとも好くない厭な犬であった。『平凡』では棄てられてクンクン鳴いていた犬の子を拾って育て上げたように書いてあるが、事実は役所の帰途に随いて来た野良犬をズルズルベッタリに飼犬としてしまったので、『平凡』にある通りな狐のような厭な犬であったから、家族は誰も嫌がって碌々関いつけなかった。が、犬ぶりに由て愛憎を二つにしない二葉亭は不便がって面倒を見てやったから、犬の方でも懐いて、二葉亭が出る度毎に跟を追って困るので、役所へ行く時は格子の中に閉じ込めて何処へも出られないようにして置いた。