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ふたばていよだん

新編 思い出す人々

内田 魯庵

内田魯庵『新編 思い出す人々』。同一底本的分册已合并为一书。收入:二葉亭余談、淡島椿岳、鴎外博士の追憶、硯友社の勃興と道程、最後の大杉、斎藤緑雨、三十年前の島田沼南、美妙斎美妙、二葉亭四迷、二葉亭四迷の一生、二葉亭追録、明治の文学の開拓者、四十年前、露伴の出世咄。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 215,401 字 · 427 页

青空文庫

のお勢のモデルであったそうだ。女学生ではあるが学校へは行かないで弟と二人で世帯を持って、国から送る学費で気随気儘に暮していた。少とばかり洋書が読めて多少の新らしい趣味を解し、時偶は洋服を着る当時の新らしい女で、男とばかり交際していた。その頃は今より一層甚だしい欧化熱の頂上に登り詰めた時代であって、青年男女の交際が盛んに鼓舞され、本郷神田辺の学生間に□□会、△△倶楽部などと称する男女交際を唯一の目的とする、今なら不良扱いされる青年の団体がイクツもあった。Nはこういう団体の何処へでも顔を出して跳廻っていたから、御面相は頗る振わなかったが若い男の中には顔が売れていた。当時のチャキチャキの新らしい男たる硯友社の中にもこの女と親しいものがあったはずである。その上にこの女は弟と二人ぎりの気随気儘の暮しをしていて、遠慮気兼をする者が一人もいなかったから、若い男は好い遊び場にして間断なしに出入して、毎晩十二時一時ごろまでもキャッキャッと騒いでいた。小説家となるツモリになっていても志士気質の失せない二葉亭は、女と交際するような事は決してなかったが、ツイ眼と鼻の間だから近所の評判となってるこの女の噂を聞いていたので、いよいよ小説を立案するに方って偶然憶付いたのがこの女であった。