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ふたばていよだん

新編 思い出す人々

内田 魯庵

内田魯庵『新編 思い出す人々』。同一底本的分册已合并为一书。收入:二葉亭余談、淡島椿岳、鴎外博士の追憶、硯友社の勃興と道程、最後の大杉、斎藤緑雨、三十年前の島田沼南、美妙斎美妙、二葉亭四迷、二葉亭四迷の一生、二葉亭追録、明治の文学の開拓者、四十年前、露伴の出世咄。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 215,401 字 · 427 页

青空文庫

文学の立場は各々違ってるから、一概に美妙や紅葉の取った道を間違ってると軽断するではないが、二葉亭にいわしむれば生活の血の滲まない製作は文学を冒涜する罪悪であったのだ。「あんな器用な真似は出来ない、自分には才がない」と二葉亭は謙遜していたが、出来る出来ない、才のあるなしよりは自分の信奉するツルゲーネフやドストエフスキーやゴンチャローフの態度と違った行き方をして生活の方便とするを内心窃に爪弾きしていた。その頃、二葉亭の交際した或る文人が或る雑誌に頼まれて寄稿した小説が頗る意に満たないツマラヌ作であるを頻りに慚愧しながらも、原稿料を請取ると大いに満足して直ぐ何処へか旅行しようと得意になる心のさもしさを賤んじて日記に罵っている。自信のない作を与えて報酬を請取るを罪悪の一つとしていた二葉亭は、これではとても文学でパンを得る事は覚束ないと将来を掛念したばかりでなく、実は『浮雲』で多少の収入を得たをさえ恥じていた。文壇的野心の欝勃としていた当初は左も右く、自分の文学的才能を危ぶみ出してからは唯一の生活手段とするつもりの文学に全く絶望して、父の渋面、母の愚痴、人生問題の紛糾疑惑、心の隅の何処かに尚だ残ってる政治的野心の余燼等の不平やら未練やら慚愧やら悔恨やら疑惑やらが三方四方から押寄せて来て、あたかも稲麻竹葦と包囲され