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ふたばていよだん

新編 思い出す人々

内田 魯庵

内田魯庵『新編 思い出す人々』。同一底本的分册已合并为一书。收入:二葉亭余談、淡島椿岳、鴎外博士の追憶、硯友社の勃興と道程、最後の大杉、斎藤緑雨、三十年前の島田沼南、美妙斎美妙、二葉亭四迷、二葉亭四迷の一生、二葉亭追録、明治の文学の開拓者、四十年前、露伴の出世咄。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 215,401 字 · 427 页

青空文庫

役所に遠いのを仮托に、猿楽町の親の家を離れて四谷の津の守の女の写真屋の二階に下宿した事もあった。神田の皆川町の桶屋の二階に同居した事もあった。奇妙な風体をして――例えば洋服の上に羽織を引掛けて肩から瓢箪を提げるというような変梃な扮装をして田舎の達磨茶屋を遊び廻ったり、印袢纏に弥蔵をきめ込んで職人の仲間へ入って見たり、そうかと思うと洋服に高帽子で居酒屋に飛込んで見たり、垢染みた綿服の尻からげか何かで立派な料理屋へ澄まして入って見たり、大袈裟に威張散らして一文も祝儀をやらなかったり、わざと思切って吝ったれな真似をした挙句に過分な茶代を気張って見たり、シンネリムッツリと仏頂面をして置いて急に噪ぎ出して騒いで見たり、故更に桁を外れた馬鹿々々しい種々雑多な真似をして一々その経験を味って見て、これが人生だよと喜んでいた。

殊にその頃は好んで下層社会に出入し、旅行をする時も立派な旅館よりは商人宿や達磨茶屋に泊ったり、東京にいても居酒屋や屋台店へ飛込んで八さん熊さんと列んで醤油樽に腰を掛けて酒盃の献酬をしたりして、人間の美くしい天真はお化粧をして綾羅に包まれてる高等社会には決して現われないで、垢面襤褸の下層者にかえって真のヒューマニチイを見る事が出来るといっていた。