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ふたばていよだん
新編 思い出す人々
内田 魯庵
内田魯庵『新編 思い出す人々』。同一底本的分册已合并为一书。收入:二葉亭余談、淡島椿岳、鴎外博士の追憶、硯友社の勃興と道程、最後の大杉、斎藤緑雨、三十年前の島田沼南、美妙斎美妙、二葉亭四迷、二葉亭四迷の一生、二葉亭追録、明治の文学の開拓者、四十年前、露伴の出世咄。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 215,401 字 · 427 页
軍人たらんと欲して失敗し、外交家たらんと願うてまた蹉躓し、拠ろなしに一時横道に外れて文学三昧に遊んでいたが、夙昔の志望は決して消磨したのではなかった。官報局に在職中、哲学や精神生理に頻りに興味を持って研究していたが、東亜の国際関係や産業等の調査はこれがために少しも怠たらないで継続していたので、一度は東亜の舞台に躍り出して一と芝居打とうとする念は片時も絶えなかった。官報局を罷めたのは偶然であるが、退職すると同時にこの野心が俄に活火山の如く燃上って来た。
然るに野心を充たすための計画は浮んで来ても、何をするにも先立つ金を作るは決して容易でなかった。一家の葛藤を処理するための聊かの金ですらが筆の稼ぎでは手取早く調達しがたいのを染々と感じた渠は、「文学ではとても駄目だ。金儲け、金儲け!」と心の底から叫ぶようになった。加之ならず、語学校時代の友人の多くは実業界に投じ、中には立派に成功して財界の頭株に数えられてるものもあるので、折に触れて渠らと邂逅して渠らの辣手を振う経営ぶりを目のあたりに見る度毎に自分の経済的手腕の実は余り頼りにならないのを内心危なッかしく思いながらも脾肉に堪えられなかった。