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ふたばていよだん

新編 思い出す人々

内田 魯庵

内田魯庵『新編 思い出す人々』。同一底本的分册已合并为一书。收入:二葉亭余談、淡島椿岳、鴎外博士の追憶、硯友社の勃興と道程、最後の大杉、斎藤緑雨、三十年前の島田沼南、美妙斎美妙、二葉亭四迷、二葉亭四迷の一生、二葉亭追録、明治の文学の開拓者、四十年前、露伴の出世咄。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 215,401 字 · 427 页

青空文庫

を読んで露国の民族性及び思想に興味を持ち、この富士の裾野に旅した時も行李の中へ携えて来たが、『罪与罰』に感激すると同時にステップニャツクを想い起し、かつ二葉亭をも憶い浮べた。

今考えると、ステップニャツクと二葉亭とを結び付けるというは奇妙であるが、その時は同型でなくとも何処かに遠い親類ぐらいの共通点があるように思っていた。ステップニャツクの肖像や伝記はその時分まだ知らなかったが、精悍剛愎の気象が満身に張切ってる人物らしく推断して、二葉亭をもまた巌本からしばしば「哲学者である」と聞いていた故、哲学者風の重厚沈毅に加えて革命党風の精悍剛愎が眉宇に溢れている状貌らしく考えていた。左に右く多くの二葉亭を知る人が会わない先きに風采閑雅な才子風の小説家型であると想像していたと反して、私は初めから爾うは思っていなかった。

秋の末に帰京すると、留守中の来訪者の名刺の中に意外にも長谷川辰之助の名を発見してあたかも酸を懐うて梅実を見る如くに歓喜し、その翌々日の夕方初めて二葉亭を猿楽町に訪問した。

丁度日が暮れて間もなくであった。座敷の縁側を通り過ぎて陰気な重苦しい土蔵の中に案内されると、あたかも方頷無髯の巨漢が高い卓子の上から薄暗いランプを移して、今まで腰を掛けていたらしい黒塗の箱の上の蒲団を跳退けて代りに置く処だった。