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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
01 第一部
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 159,223 字 · 320 页
「今度の学校はすばらしい。」
休み時間になると、誰言うとなく、そんなことを言い出して、彼らはお互に感激にひたるのだった。
次郎は、授業が終ると、きっと四五人の仲間と大工小屋にやって来て、仕事の運びを眺めたり木屑を玩具にして遊んだりした。彼は自分たちの教室のことよりも、お浜たちの部屋がどの辺になるだろうかと、いつもそれを注意していた。そして何度も大工たちにそれをきいてみるのだったが、誰もろくに返事をしてくれる者がなかった。
いよいよ落成したのは、その年の暮近くだった。次郎は、部屋という部屋を一わたり歩いてみたが、どの部屋もがらんとしていて、校番室がどれだか、まるで見当がつかなかった。土間につづいた三畳敷の部屋が、それだろうとも思ったが、それにしては少し狭すぎた。その次に、もう一つかなりの広い畳敷があった。しかしそれは三畳敷とは壁で仕切ってあり、それに床の間がついていたりして、お浜たちの部屋にしては、少し立派すぎるように思えた。
明日から冬休みが始まるという日に、三年以上の児童たちは、みんな居残って、旧校舎の道具を、新校舎に運びこむことになった。それは児童たちにとっては、このごろにない愉快な作業だった。