轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

01 第一部

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 159,223 字 · 320 页

青空文庫

「よしたら、竜ちゃんが負けだぞ。」

由夫はずるそうに念を押した。彼はもうその時、九疋目を噛みつかせていたのである。

「そら、九疋。……もうあと一疋だい。」

そう言って、彼は蝗の胴を引っぱった。胴はすぐちぎれた。そしてあとには、寒天のような白い肉がぽっちりと陽に光って、青い首の下に垂れさがっていた。

とたんに、次郎の心はしいんとなった。彼は、ふと亡くなったお祖父さんの顔を思い出したのである。しかし、それもほんの一瞬であった。次の瞬間には、彼はもう由夫の胸に猛然と飛びついて、蝗の首を残らず払い落してしまっていた。

「馬鹿野郎、何をしやがるんだい。」

由夫はよろめきながら拳を握って振り上げた。しかし、その姿勢はむしろ守勢的で、眼だけが鼬のように光っていた。

「竜ちゃん、帰ろう。」

次郎は、平気な顔をして竜一の方を向いて言った。

竜一は、まだその時まで、蝗を一疋手に握ったまま、ぽかんとして二人を見ていたが、次郎にそう言われると、すぐそれをなげすてて、

「僕んところに遊びに行く?」

「うむ、行くよ。」

二人はすぐあるき出した。あるきながら、竜一は、自分の胸にくっついている蝗の首をはらい落した。