轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
01 第一部
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 159,223 字 · 320 页
そして、あたりに散らかっている品物を、急いで木箱に収めにかかった。彼は、お祖母さんには万事秘密だということを、はっきり言い聞かされていたわけではなかったが、何とはなしに、秘密にしなければならないような気がしていたのである。
「次郎!」
と、お祖母さんの声は、物凄い慄えを帯びていた。
「お前は一たい、そこで何をしているのだい。」
次郎はちらりとお祖母さんの顔を見た。すると、その顔は、蛙が喉をわくわくさせている時のような顔に見えた。
彼はどうしていいのか解らなかった。で、坐ったまま、視線をあちらこちらにそらした。半ば引き出されたままの箪笥の抽斗や、蓋をあけた長持や、木箱や、金蒔絵や、青い紐などが、雑然と彼の眼に映った。彼はますますうろたえた。
「いつの間に、お前はこんなことを覚えたのだい。」
そう言って、お祖母さんは、二三歩彼に近づいて来た。次郎は押されるように、窓ぎわににじり寄った。
「次郎!」
お祖母さんのいきりたった声が、次郎の膝の関節をぴくりとさせた。もしその時、お祖母さんのうしろに、厳粛な、それでいて、どこかに笑いを含んだ父の顔が見出されなかったら、次郎は、あるいは二階の窓から、逃げ出そうと試みたかも知れない。