轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

01 第一部

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 159,223 字 · 320 页

青空文庫

彼は、食うだけのものは、誰にも劣らず食ったが、みんなと一緒になってはしゃぐ気には、どうしてもなれなかった。

食事がすんで、お膳が下げられると、大人も子供も座敷に集まって、菱の実をかじった。尤も俊亮の前だけには、正木のお祖母さんの気づきで、小さなお盆に、燗徳利と、盃と、塩からのはいった小皿とが残して置かれた。しかし、俊亮は、一二度お祖母さんにお酌をして貰ったきり、ほとんど盃を手にしなかった。次郎は、何度も自分でついでやりたいと思ったが、きまりが悪くてとうとう手を出さなかった。

二升ほどもあった菱の実は、三四十分もたつと、うず高い殻の山になっていた。

「もう菱も、そろそろ出なくなります頃ね。」

お民は、淋しそうに、菱の殻に眼をやりながら、言った。

「これだけでも採らせるのは、やっとだったよ。……でも、恭一や俊三が、これからはめったに食べられないだろうと思ってね。」と、正木のお祖母さんも、何だか心細そうであった。

すると俊亮が笑いながら、

「なあに、菱なら町の方がかえって多いくらいでしょう。毎晩、近在の娘たちが、何十人と売りに出るんですから。」

「ほう、それは……」