轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
01 第一部
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 159,223 字 · 320 页
そして春子のその言葉を聞くたびにいつも後悔した。しかし、一旦、そう言われると、彼はもうぐずぐずはしなかった。いかにも「うっかりしていた」というような顔つきをして思い切りよく立ち上った。この時の彼の「さようなら」は、決して元気のない声ではなかった。
次郎は脊は低かったが、同じ年配のどの少年にも負けないほど、足の速い子であった。ことに竜一の家で三十分以上も遊んだ場合には、おどろくほどの速さで帰って行った。一方は櫨並木、一方は芦のしげった大川の土堤を、短距離競走でもやっているかのように走って行く彼の姿を、村人たちはしばしば見るのであった。それは、「お使に行っても決して道草を食わない子だ。」という正木の家でのこのごろの定評を裏切るのは、彼としてあまり好ましいことではなかったからである。
ところで、こうした定評などにかまっていられない、一つの重大な、彼にとっては恐らく最も不幸だと思われる事件が、彼に近づいて来た。それは春子の身上に関することであった。
暑中休暇が始まるのもあと二三日という、ある日の朝、竜一は学校で次郎の顔を見ると、いかにも得意らしく言った。