轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

01 第一部

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 159,223 字 · 320 页

青空文庫

そして、心の中で、自分の来ていることが竜一に知れなければいい、などと思ったりすることがあった。で、学校などで、竜一に、今度はいつ来るかときかれても、あいまいな返事をすることが多かった。

しかし、竜一の存在は、彼にとっていつも邪魔であるとは限らなかった。ほかに薬を貰いに来ている人がないと、竜一はきまって自分と次郎とのために、春子におやつをねだり、それを二階の子供部屋で一緒に食べるのだった。春子も手があいているかぎり、必ず二人の相手をした。次郎にとってはおやつも嬉しかったが、春子に相手になって貰うことが、それ以上に嬉しかった。もしおやつも春子も一緒であれば、それが最上だったことはいうまでもない。

しかし、あまり永く次郎が遊んでいるのを、春子は決して許さなかった。薬壜を渡されてから、三十分以上も次郎がぐずぐずしていると、春子はきまって言った。

「お母さんが待っていらっしゃるわ。もう帰らないと。」

次郎は、そう言われないうちに立ち上りたいとは、いつも思っていた。しかし思っているだけで、それに成功したことは一度だってなかった。彼は最後の十分間ほどを、いつもはらはらしながら過した。