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しのげんり
詩の原理
萩原 朔太郎
「詩の原理」第一書房 、1928(昭和3)年12月15日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 153,641 字 · 305 页
そこでこの宗教感のメタフィジックを、特に観念上に於て掲げたものを、芸術上で普通に「象徴派」と称している。即ち先の章で述べたように、散文ではポオの小説、メーテルリンクの戯曲などが、それの代表として思惟されている。然るに詩壇に於ては、特にこの観念を意識的に旗号した一派のものが、十九世紀末葉の仏蘭西詩壇に現われたので、世人は特に彼等を象徴派の詩人と呼んでいる。
しかしながら前言う通り、詩的精神の第一義感なるものは、すべてこの種の宗教情操に基調している故、これを称して象徴と呼ぶならば、一切にわたる詩の最高感は、悉く皆象徴でなければならない。例えば前に他の章(抽象観念と具象観念)で言ったように、芭蕉のイデヤしたところのもの、石川啄木が生涯を通じて求めていたもの、西行が自然の懐中に見ようとしたもの、ゲーテが観念に浮べていたもの、李白やヴェルレーヌが思慕したもの、ランボーを駆って漂浪の旅に出したもの、シェレーが愁思郷に夢みたもの等、悉く皆この不可思議なる「霊魂の渇き」であって、認識の背後にひそむ、或る未可知のものへの実在的思慕に外ならない。
実にすべての詩人はこれを知っている。