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しのげんり

詩の原理

萩原 朔太郎

「詩の原理」第一書房 、1928(昭和3)年12月15日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 153,641 字 · 305 页

青空文庫

それはルッソオによって刺激された、仏蘭西革命の続きであって、資本主義文化の初頭に於ける自由主義の目ざましい凱歌だった。(自由主義と女性化主義とは、必然にイコールであることに注意せよ。)

されば浪漫派の運動は、貴族主義に対する平民主義の主張であり、形式主義に対する自由主義の絶叫だった。それは芸術と文化に於ける、一切の権力感情を排斥し、すべての叙事詩的なものを抑圧した。近代の恋愛を主とする抒情詩的な小説が、一時に新しい文学的勢力を得て、古典の形式韻文を駆逐したのもこの時だった。此処でついでに言っておくが、古代に於て散文が軽蔑視され、近代に至って逆にそれが優勢になってきたのは、実に新時代の自由主義が、韻文の如き形式主義の文学に反感し、より自由で平民的な散文に趣味を転じて来たからである。そして自由詩の本質に於ける精神が、同じくこの散文時代の趣味性を表象している。故にこの意味から言うならば自由詩は*散文的であるほど――即ち非律格的であるほど――真に本質的に自由詩なのである。

さて浪漫派の時代思潮は、過去の貴族文明への反感からして、一切の叙事詩的な精神を抑圧したが、これに対する反動の逆流は、当然また興らなければならなかった。