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しのげんり

詩の原理

萩原 朔太郎

「詩の原理」第一書房 、1928(昭和3)年12月15日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 153,641 字 · 305 页

青空文庫

曰く、「足が大地を離れている」「腰がふらついている」「浮薄な陶酔に溺れている」等。そして彼等自身は、正に「大地を蹈んでしっかりと立つ」ところの、骨骼のがっしりしたレアリズムの文学を以て任じていた。

かく自然派の意志したものは、明らかに浪漫派への反動であり、リリカルな情緒に対する、エピカルな権力感情の反抗だった。故に倫理感の上に於ても、彼等は浪漫派に反対して、愛や人道やの女性化主義を排斥し、より貴族主義的なるカントの義務感――カントによれば道徳の本質は義務感である――を考えていた。そしてこの倫理感から、彼等の意地悪しき、逆説的なる、サディズム的なる、露出病患者的なる文学が製作された。それは人生の汚穢を描き、醜悪を暴露することによって、一種の征服的なる権力感へ高翔しようと言うのである。

この同じ浪漫派への反動が、一方また詩壇にも呼び起された。即ち高蹈派の群団詩人がそれであって、彼等は殆ど徹底的に正面から貴族主義を振りかざした。彼等はあらゆる素質に於て、浪漫派と肌の合わない詩人だった。丁度小説に於ける自然派と並行して、彼等は浪漫派を敵対視し、一々その反対の意見を述べた。