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しのげんり
詩の原理
萩原 朔太郎
「詩の原理」第一書房 、1928(昭和3)年12月15日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 153,641 字 · 305 页
しかもデモクラシイが求めるものは、貴族主義に代わっての政権であり、民衆自身の手に権力を得ようとする叙事詩的な精神の高調である。そしてあの自由平等の高い叫びは、それ自ら権力への戦闘意識に外ならない。故に彼等のデモクラシイは、言わば「逆説されたる貴族主義」で、本質上には同じ権力感の線で、他の反対者と向き合っているのだ。自由主義もまた同様であり、彼等にあっては形式主義と相対し、同じ叙事詩的の線に立っている。
然るに日本人のデモクラシイは、そうした相対上の関係でなく、気質の絶対的な本性に根づいたものだ。日本には原始からして、一も貴族主義や形式主義が発生してない。第一日本の詩の歴史は、無韻素朴な自由詩に始まっている。(一方で西洋の詩は、荘重典雅な形式的の叙事詩に始まっている。)日本では古来からして、あらゆる文化が素朴自由の様式で特色している。西洋の文化に見るような、貴族的に形式ぶったものや、勿体ぶったものや、ゴシック風に荘重典雅のものやは、一も日本に発育していない。皇室ですらが、日本は極めてデモクラチックで――特に上古はそうであった――少しも形式ぶったところがなく、陛下が人民と一所に起臥しておられた。