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しのげんり

詩の原理

萩原 朔太郎

「詩の原理」第一書房 、1928(昭和3)年12月15日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 153,641 字 · 305 页

青空文庫

もできる筈だ。そこでこの点の不注意と軽率とを、僕は改めて読者にお詑びしたい。と言うわけは、今度漸く稿を集めて僕の体系ある自由詩論の一冊を、アルスから出版することになったからだ。

僕はずっと昔――殆ど十年以上も前――から、詩の本質について考え続けた。そもそも詩とは何だろうか? 詩の詩たる本質は何だろうか? この一つの問題こそ、僕が詩を作り始めた最初の時から、ずっと今日に至るまで、十余年の長きにわたって考え続けたことであった。僕は元来、瞑想的な気質を多分に持った人間であり、一つことを考え出すと、究理的にまで思索に没頭せねばおられぬので、詩を作り出した最初の日から、この一つの瞑想が、蛇のように執念深くからみついてた。それで過去に、幾度か思想をまとめようとして、詩論の体系を書き出したが、いつもそれが書けた頃に、次の新しい考えが浮ぶので、前の思想が幼稚になり、かつ誤謬が発見されて、自ら原稿を焼き棄ててしまう。実に過去に於て、こうして焼き棄てた原稿が、凡そ二千枚にもなってるだろう。僕はそれを考えると、今でもげっそりとして瘠せてしまう。

こうした幾度か反復された、幾多の無益の労作と、長い長い考察の後に於て、結局僕は一つの解決に到達した。