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しのげんり

詩の原理

萩原 朔太郎

「詩の原理」第一書房 、1928(昭和3)年12月15日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 153,641 字 · 305 页

青空文庫

即ち人間主義者等が意味したところは、芸術が「教会のため」や「説教のため」でなく、芸術それ自体のために、芸術のための芸術として批判さるべきことを説いたのである。故に当時の意味に於ては、正統なる芸術批判の主張であって、もとより「生活のための芸術」に対する別の主張ではなかったのだ。

然るに当時の人間主義者等は、初めから基督教に叛逆して立っていた為、この「芸術のための芸術」という語は、それ自ら反基督教、反教会主義の異端思想を含蓄していた。即ち当時のヒューマニズムは、故意に神聖冒涜の思想を書き、基督教が異端視する官能の快楽を追い、悪魔視される肉体の讃美をして、すべての基督教道徳に反抗した為、彼等の標語「芸術のための芸術」は、それ自ら異端的の悪魔主義や官能的享楽主義やを、言語自体の中に意味するように考えられた。然るに「芸術」はそれ自ら「美」を意味する故に、此処に唯美主義とか、芸術至上主義とかいう言葉が、必然に異端的の快楽主義や、反基督の悪魔主義やと結ぶことになった。今日尚十九世紀に於けるワイルドやボードレエルやを、しばしば唯美主義者と呼び、芸術至上派と呼び、「芸術のための芸術家」