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しのげんり
詩の原理
萩原 朔太郎
「詩の原理」第一書房 、1928(昭和3)年12月15日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 153,641 字 · 305 页
人々は一般に、何を詩的と考え、何をプロゼックと思惟するだろうか。もちろん後に言う如く、こうした感じは人によってちがうのである。だが思考を簡明にするために特に一般の場合について、大多数の人が一致している例証を取ってみよう。そして出来るだけ多数の例をあげてみよう。先ず自然について考えれば、一般に人々は、青い海や松原があるところの、風光明媚の景を詩だと言う。もしくは月光に照らされてる、蒼白い夜の眺めを詩的だと言う。或は霧や霞のかかってる、朦朧とした景色を詩的だと言う。そしてこの反対のもの、即ち平凡にして魅惑のない景色や、昼間の白日に照らされる街路や、明らさまに露出されてる眺めやは、すべて詩のないプロゼックのものだと言う。
同じような感じ方から、人々は或る都会を詩的と言い、他の都会をプロゼックだと言う。例えば定評は、奈良や京都を指して「詩の都」と言い、大阪や東京やをプロゼックだと言う。或は伊太利のヴェニスを詩的と言い、マンチェスタアや紐育をプロゼックだと言う。また熱帯無人境の阿弗利加内地や、原始的なる南洋タヒチの蛮島等は、単にそれを思うだけでも、吾人にとって詩的の興奮を感じさせる。