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しのげんり

詩の原理

萩原 朔太郎

「詩の原理」第一書房 、1928(昭和3)年12月15日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 153,641 字 · 305 页

青空文庫

かく空想や聯想の自由を有して、主観の夢を呼び起すすべてのものは、本質に於て皆「詩」と考えられる。反対に空想の自由がなく、夢が感じられないすべてのものは、本質に於ての散文であり、プロゼックのものと考えられる。故に詩の本質とするすべてのものは、所詮「夢」という言語の意味に、一切尽きている如く思われる。しかしながら吾人の仕事はこの「夢」という言語の意味が、実に何を概念するかを考えるのである。

夢とは何だろうか? 夢とは「現在しないもの」へのあこがれであり、理智の因果によって法則されない、自由な世界への飛翔である。故に夢の世界は悟性の先験的範疇に属してないで、それとはちがった*自由の理法、即ち「感性の意味」に属している。そして詩が本質する精神は、この感情の意味によって訴えられたる、現在しないものへの憧憬である。されば此処に至って、始めて詩の何物たるかが分明して来た。詩とは何ぞや? 詩とは実に主観的態度によって認識されたる、宇宙の一切の存在である。もし生活にイデヤを有し、かつ感情に於て世界を見れば、何物にもあれ、詩を感じさせない対象は一もない。逆にまた、かかる主観的精神に触れてくるすべてのものは、何物にもあれ、それ自体に於ての詩である。