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さんごくし

三国志(八)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(八)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。

N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 195,604 字 · 391 頁

青空文庫

三

曹真は、必定、敵の間諜であろうと、面前に引かせ、自身これを調べた。すると、その蜀兵は、

「自分は決して、細作のものではありません。……実は」

とおずおず、左右の人々を見まわして、

「一大事をお告げしたいのですが、人のおるところでは申し兼ねまする。どうか、ご推量くださいまし」と、平伏して云った。

三

乞いを容れて、曹真は左右の者をしりぞけた。蜀兵は、初めて、

「私は、姜維の従者です」

と、打ち明けて、懐中から一書を取りだした。

曹真がひらいてみると、まぎれなき姜維の文字だ。読み下すに、誤って、孔明の詭計に陥ち、世々魏の禄を喰みながら、いま蜀人のうちに在るも、その高恩と、天水郡にある郷里の老母とは、忘れんとしても忘るることができない――と言々句々、涙を以て綴ってある。

そして、終りには。

――しかし、待ちに待っていた時は今眼前に来ている。もし姜維の微心を憐れみ、この衷情を信じ賜るならば、別紙の計を用いて、蜀軍を討ちたまえ。自分は身をひるがえして、諸葛亮を擒人となし、これを貴陣へ献じておみせする。ただ願わくは、その功を以て、どうか再び魏に仕えることができるように、おとりなしを仰ぎたい。