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さんごくし
三国志(八)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(八)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。
N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 195,604 字 · 391 頁
「……あっ。それはいかん」
「な、なぜだ?」
「そのことも、それがしが離京の際に、司馬仲達がくれぐれも警戒せよといっていました」
「なに。味方の勝つのはいけないといったのか」
「そうした意味ではありませんが。……つまり、こう申されたのです。……蜀軍はたとえ兵糧が欠乏しだしても、決して軽々しくは退くまい。だが、彼の兵がしばしば小勢で出没してそのたび負けて逃げるような時は、大いに機微を見ていないといけない。反対に、彼が大軍をうごかすか、大いに強味のあるときは、まだ退陣の時は遠いと見ていてまちがいない。この辺が、兵家の玄妙であるから、よくよく曹真閣下におつたえしておくがいいと附言された次第です」
「……ははあ、なるほど。すると過日からの味方の勝ち色はあまりあてにならんかしら」
何か思い当るものがあるらしく、曹真は急に間諜の上手な者数名を放って、孔明の本陣をうかがわせた。
間諜は帰ってきて報告した。
「祁山の上にも下にも、敵は一兵もおりません。ただ備えの旗と囲いだけが残っているだけであります」
次に帰ってきた者もいった。
「孔明は、漢中さして、総引揚げを行ったようです」