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さんごくし

三国志(八)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(八)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。

N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 195,604 字 · 391 頁

青空文庫

そしてすぐその後で、

「姜維、廖化を、これへ」と、さし招き、各自に各三千騎をひっさげて、王平、張翼の後を追い、その戦場となるべき附近の山上に登って、待機せよといい渡した。

そして、二人が行く前に、

「ここぞと、戦機の大事を見極めたら策をこの嚢に聞け」

と、錦の嚢を渡した。いわゆる智嚢である。

次に。

呉班、呉懿、馬忠、張嶷の順に呼ばれた。

「その方たちは、正陣をもって、寄せ来る敵の前面に当れ。壁となって防ぎ戦え。しかし明日の魏軍の猛気はおそらく必殺必勝の気で来るであろうゆえ、無碍に支えれば、必定、支えきれなくもなる。一突一退、緩急の呼吸をはかって、やがて関興の一軍が討って出るのを見たら、そのとき初めて、一斉に奮力をあげて死戦せい」

孔明は、また、最後に関興へこういう命令を与えた。

「汝は、一軍をもって、この附近の山間にひそみ、明日、予が山上にあって、紅の旗をうごかすのを見たら、一度に出て、敵とまみえよ。かならず日頃の戦いと思うな」

かくてすべてに渡って手筈が整うと、孔明は、一睡をとって、黎明早くも山上へ登って行った。この日、朝雲は低く、日輪は雲表を真紅に染め、未だ万地の血にならない前に、天すでに血の如しであった。