Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
みみずのたわこと
みみずのたはこと
徳冨 健次郎
Read みみずのたはこと (みみずのたわこと) by 徳冨 健次郎 (とくとみけんじろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 265,437 characters · 530 screens
七
飯の代りに黍の餅で済ます日もある。近い所は、起きぬけに朝飯前の朝作り、遠い畑へはお春っ子が片手に大きな薬鑵、片手に茶受の里芋か餅かを入れた風呂敷包を重そうに提げ、小さな体を歪めてお八つを持て行く。斯季節に農家を訪えば大抵は門をしめてある。猫一疋居ぬ家もある。何を問うても、くる/\とした眼をって、「知ンねェや」と答うる五六歳の女の子が赤ン坊と唯二人留守して居る家もある。斯様な時によく子供の大怪我がある。家の内は麦の芒だらけ、墓地は草だらけで、お寺や教会では坊さん教師が大欠伸して居る。後生なんか願うて居る暇が無いのだ。
七
忙しい中に、月は遠慮なく七月に入る。六月は忙しかったが、七月も忙しい。
忙しい、忙しい。何度云うても忙しい。日は永くても、仕事は終えない。夜は短くてもおち/\眠ることが出来ぬ。何処の娘も赤い眼をして居る。何処のかみさんも、半病人の蒼い顔をして居る。短気の石山さんが、鈍な久さんを慳貪に叱りつける。「車の心棒は鉄だが、鉄だァて使や耗るからナ、俺ァ段々稼げなくなるのも無理はねえや」と、小男ながら小気味よく稼ぐ辰爺さんがこぼす。「違ねえ、俺ァ辰さんよか年の十も下だンべが、何糞ッ若け者に負けるもンかってやり出しても、第一息がつゞかんからナ」