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みみずのたわこと
みみずのたはこと
徳冨 健次郎
Read みみずのたはこと (みみずのたわこと) by 徳冨 健次郎 (とくとみけんじろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 265,437 characters · 530 screens
命がけ
彼女の臨終は如何であったろうか。当歳の子と夫を残して逝く彼女は嘸残念であったであろう。然し彼女自身は朝に生れて夕に死すとも憾みは無い善良の生涯を送って居たので、生の目的は果した。彼女の実家は仏教の篤信者で、彼女の伯母なぞは南無阿弥陀仏を唱えつゝ安らかな大往生を遂げた。彼女にも其血が流れて居る。
謙遜な奉仕の天使、彼等が我等と共に在るの日、高慢な我等は微笑を以て其弱点を見つゝ十分に尊敬を払わず、当然の事の如く座ながらにして其心尽しの奉仕を受け易い。彼等が去るの日に於て、我等は今更の如く其人と其働の意味を知り得て、あらためて感謝と慚愧を感ずるのである。
命がけ
昨夜は烈しく犬が騒いだ。
今朝起きて見ると、裏庭の梧桐の下に犬が一疋横になって居る。寝たのかと思うと、死んで居るのであった。以前時々内のピンに通って来た狐見た様な小柄の犬だ。デカが噛み殺したと見える。
裏のはなれに泊って居るA君の話によれば、昨夜ピンを張りに来た此犬を、デカがはなれの縁の下に追い込んで、足を啣えて引きずり出し、而して睾丸を啣えて体をドシ/\と大地に投げつけた。A君が余程引きはなそうと骨折ったが、デカが如何しても放さなかったと云う事である。