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みみずのたわこと
みみずのたはこと
徳冨 健次郎
Read みみずのたはこと (みみずのたわこと) by 徳冨 健次郎 (とくとみけんじろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 265,437 characters · 530 screens
……何とかして「さんげ※(二の字点、1-2-22)※(二の字点、1-2-22)※(二の字点、1-2-22)」と口々に叫んだ。其声は舜旻天に号泣する声の如くいじらしく耳に響いた。霜の朝など八幡から眺めると、小川の上ばかり水蒸気がほうっと白く騰って、水の行衛が田圃はるかに指さゝれる。
「田川」のキャプション付きの写真
田川
筧の水音を枕に聞く山家の住居。山雨常に来るかと疑う渓声の裡。平時は汪々として声なく音なく、一たび怒る時万雷の崩るゝ如き大河の畔。裏に鳧を飼い門に舟を繋ぐ江湖の住居。色と動と音と千変万化の無尽蔵たる海洋の辺。野にいた彼には、此等のものが時々幻の如く立現われる。然しながら仮にサハラ、ゴビの一切水に縁遠い境に住まねばならぬとなったら如何であろう。また竈に蛭這い蛇寝床に潜る水国卑湿の地に住まねばならぬとなったら如何であろう。中庸は平凡である。然し平凡には平凡の意味があり強味がある。
田川の水よ。に筧の水の幽韻はない。雪氷を融かした山川の清冽は無い。瀑布の咆哮は無い。大河の溶々は無い。大海の汪洋は無い。※(「にんべん+爾」、第3水準1-14-45)は謙遜な農家の友である。