Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

みみずのたわこと

みみずのたはこと

徳冨 健次郎

Read みみずのたはこと (みみずのたわこと) by 徳冨 健次郎 (とくとみけんじろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 265,437 characters · 530 screens

Aozora Bunko

誰か其懐に多少の草の種を有って居らぬ者があろうぞ?

畑の草にも色々ある。つまんでぬけばすぽっとぬけて、しかも一種の芳しい香を放つ草もある。此辺で鹹草と云う、丈矮く茎紅ぶとりして、頑固らしくって居ても、根は案外浅くして、一挙手に亡ぼさるゝ草もある。葉も無く花も無く、地下一尺の闇を一丈も二丈も這いまわり、人知れず穀菜に仇なす無名草もある。厄介なのは、地縛り。単弁の黄なる小菊の様に可憐な花をしながら、蔓延又蔓延、糸の様な蔓は引けば直ぐ切れて根を残し、一寸の根でも残れば十日とたゝずまた一面の草になる。土深く鍬を入れて掘り返えし、丁寧に根を拾う外に滅す道は無い。我儕は世を渡りて往々此種の草に出会う。

草を苅るには、朝露の晞かぬ間。露にそぼぬれた寝ざめの草は、鎌の刃を迎えてさく/\切れて行く。一挙に草を征伐するには、夏の土用の中、不精鎌と俗に云う柄の長い大きなカマボコ形の鎌で、片端からがり/\掻いて行く。梅雨中には、掻く片端からついてしまう。土用中なら、一時間で枯れて了う。

夏草は生長猛烈でも、気をつけるから案外制し易い。恐ろしいのは秋草である。行末短い秋草は、種がこぼれて、生えて、小さなまゝで花が咲いて、直ぐ実になる。