Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
みみずのたわこと
みみずのたはこと
徳冨 健次郎
Read みみずのたはこと (みみずのたわこと) by 徳冨 健次郎 (とくとみけんじろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 265,437 characters · 530 screens
長者気どりで三碗代える。尤も餅は唯三個。
*
朝は晴、やがて薄曇って寒かったが、正午頃からまた日が出て暖になった。
自家は正月元日でも、四囲が十二月一日なので、一向正月らしい気もちがせぬ。年賀に往く所もなく、来る者も無い。
デデンがぶらりと遊びに来た。デデンは唖の巳代吉が事である。唖で口が利けぬが、挨拶をする場合には、デデンと云う声を出す。彼は姦淫の子である。戸籍面の父は痴で、母は莫連者、実父は父の義弟で実は此村の櫟林で拾われた捨子である。捨てた父母は何者か知らぬが、巳代吉が唖ながら心霊手巧職人風のイナセな容子を見れば、祖父母の何者かが想像されぬでもない。巳代吉は三歳までは口をきいた。ある日「おっかあ、お湯が呑みてえ」と呼んだきり唖となった。何ものが彼の舌を縛ったか。同じ胤と云う彼の弟も盲であるのを見れば、梅毒の遺伝もあろう。父母の心の咎も与って力あるかも知れぬ。兎に角彼は唖になった。
「イエス行く時、生来なる瞽を見しが、其弟子彼に問ふて曰ひけるは、ラビ、此人の瞽に生れしは誰の罪なるや、己に由るか、又二親に由るか。イエス答へけるは、此人の罪に非ず、亦其二親の罪にもあらず、彼に由て神の作為の顕はれん為也。