Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

みみずのたわこと

みみずのたはこと

徳冨 健次郎

Read みみずのたはこと (みみずのたわこと) by 徳冨 健次郎 (とくとみけんじろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 265,437 characters · 530 screens

Aozora Bunko

其様な事で彼は甲州街道の浮浪犬になり、可愛がられもし窘められもした。最後に主従の縁を結んだのが、粕谷の犬好きの家だった。デカは粕谷の犬になって二年経た。渡り者のくせで、子飼から育てたピンの如くはあり得なかった。主人に跟いて出ても、中途から気が変って道草を喰ったりしては、水臭いやつだと主人に怒られた。雄犬の癖でもあるが、よく家をあけた。先の主、先々の主、其外一飯の恩ある家をも必訪ねた。悪戯でもして叱られると、直ぐ甲州街道に逃げて往った。然し彼はよく主人をはじめ一家の者になずいて、仮令余が彼を撲ちたゝくことがあっても、彼は手足をちゞめて横になり、神妙に頭をのべて鞭を受けた。其為め余が鞭の手は自然に鈍るのであった。彼は長い間浮浪犬として飢じい目をした故であろ、食物を見ると意地汚なく涎を流した。文豪ジョンソンが若い時非常の貧苦を経た結果、位置が出来ても、物を食えば額に太い筋現われ、汗を流し、犬の如くむしゃ/\喰うた、と云う逸話を思い浮べて、甚可哀想になった。其れから彼は餅でもやると容易に食わず、熟と主人の顔を見て、其れ切りですか、まだありますかと云う貌をした。