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みみずのたわこと
みみずのたはこと
徳冨 健次郎
Read みみずのたはこと (みみずのたわこと) by 徳冨 健次郎 (とくとみけんじろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 265,437 characters · 530 screens
彼等は頂天立地何の恐るゝ処もない赤裸の英雄である、原人である。彼等は元来裸である。何ものも有たない。有たないから失うことが出来ない。失うものがないから、彼等は恐るゝことを知らぬ。生存競争の戦闘に於て、彼等は常に寄手である。唯進んで撃ち而して取ればよいのである。守ると云うは、有つ者の事である。守ると云うは、已に其第一歩に於て敗北である。
世には有たぬ程強い事はない。有たぬ者は、すべてのものを有つのである。彼等には明日は無い。昨日も無い。唯今日がある、刹那がある。彼等は神を恐れない。王者を恐れない。名聞を思わない。彼等は失うべき富もない。愛む可き家族も無い。彼等は其れより以下に落つ可き何等の位置も有たない。国家か、何ものぞ。法律か、何の関係ぞ。習慣、何の束縛ぞ。彼等は胃の命令と、腸の法律と、皮膚の要求と、舌頭の指揮と、生殖器の催促の外、何の縛らるゝ処がない。彼等は自然力其ものである。一触してタイタニックを沈めた氷山である。華麗な羅馬の文明を鉄蹄に蹂躙した北狄蛮人である。一切の作為文明は、彼等の前に灰の如く消えて了う。
土を穿ち、土を移し、土を平らし、土を積む。