Japanische Klassiker mit Furigana
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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
Lesen Sie 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 335.908 Zeichen · 669 Bildschirme
「阿だか吽だか私は知らぬ」お三婆は嘯いた。
「一念信仰これ秘訣じゃ。蛇になろうと思う時には、何より先に一念凝らして蛇になろうと念ずるのじゃ。そうすればきっと蛇になる」
「お前の吹矢流の忍術で飛行自在が得られるかの?」
「なんでもないこと、得られますじゃ。私は吹矢の筒に乗ってどんな空でも飛んで見せる」
「一日に百里、地が走れるか?」
「風のように私なら走って見せる……ところでどうじゃなお爺さん、そのお前さんの伊賀流で、掌の上へ乗れるほどの一寸法師になれるかの?」
「すなわち、蛞蝓縮身秘法。昔、綱手の使った術じゃ。伊賀流においては秘伝の一つ」
「そんなら明るい白昼間を夜にすることが出来るかの?」
「降雲奪取光明術。きわめて易い初期の術じゃ――お婆それではお前に訊くが、挟山飛天とはどんな術じゃ?」
「山を両脇に一つずつ抱いて空へ飛び上がる術じゃろう。そんなこと何んでもないことじゃ……お爺それではお前に訊くが……オヤオヤ変だぞ! これは変だ! 誰か私らを窺っているぞ。吹矢の筒が唸っておるに」
老婆はあたりを見廻わした。
「私にはとうに解っておる。二人の武士が私の後を町から追従けて来た筈じゃ――向こうの林の木の蔭とこっちの土手の草のかげに兎のように隠れておるわ」