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Japanische Klassiker mit Furigana

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つたかずらきそのかけはし

蔦葛木曽棧

国枝 史郎

Lesen Sie 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 335.908 Zeichen · 669 Bildschirme

Aozora Bunko

懐から千両

如来衛門はこう云うと、新らたに涙を拭くのであった。

水のように清らかの秋の夜は、しっとりとして更けて行った。遠くの部屋から鼓の音が、いともたけて聞こえて来た。遊女の唄う小唄の声も。

白萩は座にも居たえぬように、さっきから泣き伏しているのであった。

鳰鳥も眼瞼をぬぐったが、

「聞けば聞くほどお気の毒のお身の上なのでございますね。そういうお二人をお助けしたのも何かの縁でございましょう……それはそうと今夜館を抜けて、それから後はどうなされます?」

「どこぞ追手のかからぬ土地で、隠れ住むつもりでございます」如来衛門はつつましく云った。

「それでは仲よくいつまでも、たっしゃでお暮らしなさいませ」

しんみり鳰鳥も云うのであった。

やがて、二人は立ち上がった。それからひそかに部屋を出た。

しばらくすると、けたたましい犬の吠え声が聞こえて来た。鳰鳥が窓から覗いて見ると、日の落ちた暗い中庭で、ピカリと刃が閃めいた。と、すぐ犬の仆れる音が、呻き声と一緒に聞こえて来て、森然と後は静かであった。

首尾よく二人は逃げたのである。

懐から千両

夕陽が山に舂ずくと、錦を織った紅葉の色が、一時にカッと燃え立って、眼の眩むばかりに美しい。