Japanische Klassiker mit Furigana
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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
Lesen Sie 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 335.908 Zeichen · 669 Bildschirme
女菩薩様
「よしよし解った。もう解った。こうまで云っても黙っているのは、俺の言葉に不承知だな! しぶとい女郎め! やくざ者め! いつまでもしぶとくするがいい! そっちがそうならこっちもこうじゃ! やいやい加藤次その女を、あの松の木の頂上へ用捨なく逆さに釣るしあげ、松葉燻しに燻し立てろ!」
「はっ」と加藤次は飛び上がり傍の藤蔓を掴んだが、そのまま白萩に走り寄り、両手を背中へねじ上げた。
と不意にその時奥の室の襖がサラリと開いたかと思うと、涼しい美しい女の声で、
「まあまあしばらくお待ちください」と、呼び止めるのが聞こえて来た。
女菩薩様
「この長者様の命令をしばらく待てと止めたのはいったい誰じゃ?」
長者はがみがみ怒鳴りながら襖の方を振り返ったが、そこから出て来た女を見ると、急にニタニタ笑い出した。
「これはこれは鳰鳥女菩薩様、我が家にとっての福の神、ようこそ出現ましなされた。何かご托宣でもござるそうな……」
云いながら両手をハタハタと拍って拝む真似さえするのであった。
「私のことを女菩薩だなどと、なんの托宣などござりますものか」鳰鳥は静かに長者の傍へ眼醒むるばかりに美しい匂うような姿を坐らせたが、心持ち眉を顰ませて、庭の三人の女を見た。