Japanische Klassiker mit Furigana
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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
Lesen Sie 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 335.908 Zeichen · 669 Bildschirme
その盃
のお父様は、日本のお方ではござりませぬ」
「え?」と思わず千曲は云った。「日本の者でないというのは?」
「そうです。あなたのお父様は、日本のお方ではございませぬ。遠い遠い外国の、西班牙という暖い国の、それも、王様のお血統でマドリド司僧と申すお方……」
「それでは私のお母様は?」
「お母様だけは日本の生れで、それも九州の大大名、竜造寺家の姫君の、不知火姫と仰せらるる美しいお方でございます」
「それなら私のご両親を討ち亡ぼした敵の名は?」
「それは」とお霜は声をひそめ、「木曽の山国を受領する木曽義明でございます」
「木曽の受領の義明!」
千曲は呟くと十字架を取って、額にしっかりとあてたのである。
その盃
十六夜の月を茫然と窓を通して眺めながら、鳰鳥は尚も来し方を夢現のように思いやった。
「それから私はその翌日、篠井の里を抜け出して、木曽路を指して彷徨った。丸子の宿まで来た時に、愚かにも人買いに誑かされて、思いもよらず藪原長者へこの身を遊女に売られたが、仇敵に近寄る手段としてはかえって便利と思ったので、そのまま今日まで暮らしては来たが、行末どうなることであろう……敵の住むという福島へはたった二宿の道程で、どんなに山路が険しくとも一日がかりで行ける筈、と云って館は抜け出されず、たとえ抜け出して行ったとしても、武術も習わぬ女の身で