Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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つたかずらきそのかけはし

蔦葛木曽棧

国枝 史郎

Lesen Sie 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 335.908 Zeichen · 669 Bildschirme

Aozora Bunko

暗に近づく足音

「私の考えたところではそんなご利益はまずないね」

暗に近づく足音

「まずないねとは驚いた。それじゃ全然詐欺だね」

「詐欺とおっしゃればまずそんなもの、けれど、詐欺をするものは私ばかりではありますまい、そういうあなたのその力柱、ほんとにそれを抜いた者へ、明神様は百人力をお授けなさるんでございましょうか?」

「その辺はチト受け合われぬて、第一こんな馬鹿太物を一人の力で引き抜くものはこの日本にはおるまいて」

「それじゃ私と似たようなもの。やっぱり詐欺ではありませんか」

「云われて見ればその通り、正に一言もありませんわい」

嗄れた声は地の下でカラカラと大きく笑ったが、「この戦国の世の態では、とうてい正直に暮していたら鼻の下の建立が覚束ないと、早くもそこへ目を付けて、詐欺のネタになるような、掘り出し物はあるまいかと、産れ故郷の筑紫を出て海道筋を押し上ぼりそこからちょっと横へ外れ、この信州の諏訪まで来ると日本第一大軍神、諏訪明神の境内で、計らず見つけた四本柱、中で一番大きい奴の、根もとの土を掘り下げて、そこへ小さい室を造り、その上へ土をおっ冠ぶせ、呼吸抜きの竹筒で空気を取り、夜昼この室へ坐ったまま、時々鈴を振り立てるのが、役目と云えば役目のようなもの、どこへ行っても十や二十の乾児のあるのが私の自慢、この土地へ来てもその通り、その