Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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つたかずらきそのかけはし

蔦葛木曽棧

国枝 史郎

Lesen Sie 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 335.908 Zeichen · 669 Bildschirme

Aozora Bunko

転び込んだ市之丞

と、その戸口の樫の扉が颯と戸外から開けられて、ひしとばかりに法服の袖へ、縋り付いた一人の女性がある。

転び込んだ市之丞

「や! そなたは芳江殿!」

「はい芳江でござります! 話は大略戸の外でお聞き致してござります……いえいえどうあっても老師様はここから他へはやりませぬ! どうぞお止どまりくださりませ! 一生のお願いでござります」

涙の顔を袖に着け烈しく咽び泣くのであった。老師も涙を流しながら、

「芳江殿のお志は、有難くお受けは致しますものの、私はあなたのお父上より、職を解かれた者でござれば、もはや一刻もこの国には、止どまり兼ねるのでござりまする」

「それと申すもこの妾の不束からでござります。どうあろうともご老師様を決して他へはやりませぬ――お父上様!」

と、呼びかけて、弾正太夫の足もとへ芳江は体を投げかけた。

「不孝者めが!」

と、大音に、血を吐くような苦痛の声で、弾正太夫は一喝した。

「はい、不孝者でござります! それ故妾はこのようにお詫びしているではござりませぬか!」

「今さら詫びが何んになろうぞ!」涙を含んだ悲痛の声で弾正太夫は云うのであった。「とは云え詫びるというからは、血肉を分けた実の親子、没義道のことも云われまい。