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Japanische Klassiker mit Furigana

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つたかずらきそのかけはし

蔦葛木曽棧

国枝 史郎

Lesen Sie 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 335.908 Zeichen · 669 Bildschirme

Aozora Bunko

琵琶法師

彼女はまたも縁側へ行き、恋しい人の影は見えぬかと、延び上がり延び上がり眺めたが、それぞと思う人影もない。

と、間近の枝折戸の外で、急に掻き立てる琵琶の音。門付けの法師が来たのでもあろう。

「ええ辛気な琵琶法師。人の心も知らないで悠長らしく掻き鳴らす事は……ご無用!」

と、島君は声を掛けたが立ち去って行く気勢もない。

※(歌記号、1-3-28)……小鹿鳴くこの山里と詠じけん、嵯峨のあたりの秋の頃、さこそ哀れにも覚えけめ……

節は平家、曲は「小督」、声も音も未だ幼稚く、人に聞かせて金を得るほどの、冴えも巧みもなかったがいつまでも立ち去ろうとはしなかった。

「生活で鳴らす琵琶の曲、ただ断るもお気の毒、はいはい奉捨致しましょうぞ」

島君は静かにこう云うと飛び石伝いに近寄って行き「ご苦労様」とひねり紙をつと法師へ差し出した。その手を握った琵琶法師。ハッと驚く島君の耳へ、聞き覚えのあるあの人の声。

「驚くまいぞ右衛門じゃ」

「ほんにお前は右衛門さん……」

「設計図の有所解ったか?」

「お前を待っていたところ……思った通り紋十郎めが自ら吟味所へ忍び込み、奪い取ったと酔った余りに、たった今白状致しました」