Japanische Klassiker mit Furigana
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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
Lesen Sie 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 335.908 Zeichen · 669 Bildschirme
陰陽秘伝の一巻
と声もろとも、権六を小脇に引っ抱え、大地を蹴ると思ったが、二人の姿は消え去った。
山尾はやがて悠然と、結んだ合掌を静かに解き、両眼を涼しく開いたが、胸に懸けた丸鏡を、片手にしっかりと握りながら、月の下辺の夜の空へ、キッとその眼を注ぎながら、鏡をサッと閃めかした。
見よや、鏡の向かうところ一道の白光闇を貫き、その白光の杳か彼方、八ヶ岳の山頂と覚しき辺りに、権六を抱えた五右衛門の姿、豆より小さく見えていたが、やがてそれさえ朦朧として山の彼方へ消えて行った。
花村右門はその間も、ただ茫然と彳んだまま、我を助けた女神の姿、――世にも優れた美容を備えた山尾の姿を見守っていた。
陰陽秘伝の一巻
「蕭々たる秋の景色、しかもここは塩尻峠、向こうに見えるは乗鞍山脈、秋草の花はおおかた枯れ、昼鳴く虫も死に絶えてはおれど、こうして歩く我々二人は、ちょうど唐画の点景人物、他人には暢気らしく見えましょうなあ」
花村右門はこう云いながら、遅れて歩く山尾の顔を朗かの眼で見るのであった。
山尾はニッと笑ったが、
「ほんとに信州という国は、どこへ行ってもよい景色、眩惑るしいほどでございます。