Japanische Klassiker mit Furigana
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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
Lesen Sie 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 335.908 Zeichen · 669 Bildschirme
双玉の原
その入江の水に臨み一宇の社が立っていた。
そこの社務所まで来た時であったが、二人の乙女が鳰鳥へ云った。
「妾達の住居でございます。さあおはいりなさいまし」
双玉の原
で鳰鳥ははいって行った。
部屋は清浄に掃除され、住み心地よさそうに思われた。そうしてここの住人といえば、たった乙女二人だけであった。
「さぞお疲労れでございましょう。少しお休みなさいまし」
こう云って乙女は床を敷いてくれた。
こうして鳰鳥の生活は、全く一転化することになった。
飛天術も縮地法も、非常にむずかしい修法である。で鳰鳥には出来なかった。それが彼女に出来ない以上は、この「双玉湖」の別天地から、木曽へ帰ることは困難であった。それに彼女は帰りたくもなかった。もちろん木曽の館では彼女を待っているだろう。換え玉もやがて露見しよう。そうしたら内乱が起こるかもしれない。そうして彼女の勢力が、その彼女の留守の間に土崩瓦解するかもしれない。だがそんなことは今の彼女には、一向苦痛でも懸念でもなかった。
彼女には現在の境遇がひどく愉快で気に入った。塵寰を離れた山中湖の附近、神のように清い二人の乙女、女ばかりの水入らずの生活、美しい自然清潔な空気、なんと館の生活とは夥しい相違のあることよ!