Japanische Klassiker mit Furigana
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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
Lesen Sie 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 335.908 Zeichen · 669 Bildschirme
魚鱗の備え
何かの参考となろうも知れぬ。ご免!」と云うとタッタッと馬を陣中へ引き返した。
やがて貝の音が嚠喨と鳴る。それを合図に四方の陣が俄然運動を開始した。一面あたかも火の海のように前方一帯を埋めていた松火の火が速く速く西に向かって走ると見る間に、それが次第に一列となり、それに続いて他の陣が、同じく一列に隊伍を組み、後から後からと引き続く。その神速さ眼を驚かすばかり、忽ち魚鱗の備えとなった。と、第二の運動が法螺の音と共に行われた。すなわち蜒々たる魚鱗の備えが、ポツリポツリと千切れたかと思うと、一段二段三段四段、さながら梯子を組み立てるがように、横一文字を縦に組み十二段まで畳んだものである。ああ見事と思う間もなくまず最初の一段が鳴らす太鼓の音に連れてズンズン先方へ進んで行った。次第に早まる太鼓の音。それに連れて歩みも早まり直押しにドッと走ると見えたがグルリそれが右に反れた。あッと思うと既に二段目が同じ位置まで押し出している。とまたそれが右へ反れる。すると三段目がそれを補い同じ位置まで押した。こうして四段目五段目と十二段の軍勢が押し出し押し出し同じ位置まで押し出して行く。