Japanische Klassiker mit Furigana
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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
Lesen Sie 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 335.908 Zeichen · 669 Bildschirme
弾正太夫の領土
飯田の祭礼の終わった翌る日、香具師達は荷物を纏め、車を曳いたり馬に乗ったりして他の土地へ向かって発足した。東条数馬も彼らと連れ立ちやはり同じように旅立った。
伊那の町や高遠と目ぼしい城下で、彼らは見世物を開帳して一月余りの日を送った。
「さあさあ帰国する時期になった」ある日彼らはこう云ってにわかに帰国の準備をした。――彼らの国土の飛騨の山奥へ引き返して行くその準備を。
「数馬さん、あなたどうなさいます?」
飛騨へ向かうというその前の日、右衛門がこう云って数馬に訊いた。
「どうです。一緒に参りませんか」
「さよう」と数馬が考えもせず、「お供することに致しましょう。ご貴殿ご熟達の木太刀の妙法、まだまだ会得出来ませぬ故このままお別れ致すことは拙者にとっても残念至極、是非どこへなとお連れくだされてご教授幾重にもお願い申す」
「云うことがどうも堅くて困る。ご貴殿もご教授もありませんや。が、まあそれはどうでもいい。それじゃ一緒にいらっしゃい。面白いこともありますよ。我らがご主君弾正太夫様と来たら、それはどうも天晴れのお方でね、あなただって感心なさるでしょう……そう決まったらそのようにあなたも準備なさいまし」