Japanische Klassiker mit Furigana
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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
Lesen Sie 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 335.908 Zeichen · 669 Bildschirme
すると常陸も頷いて、
「これはこれは右門殿とやら、よい所へお気がつかれましたな。実は拙者もその事についてお尋ねいたしたく思いましたる次第。お差し支えなくばいざご主人、お名のり置かれくださるよう」
すると五右衛門もその尾につき、
「いかにもこれは聞き物じゃ。こんな山間に住むからに老人の隠者かと思っていたに、眼の覚めるような色若衆! と云って狐や狸などの、化物のようにも思われぬ。とかく名のりが聞きたいものじゃ」
こう三方から問い詰められて、主人の若衆は迷惑そうに、その眉の辺を顰めた。
「そのお尋ねは我らにとりかえって迷惑に存じ申す。ただ見た通りの弱年者、故あって山間に住む者とただ思し召しくださるよう。それはともあれ客人のため、用意いたしたる肴物ご覧くださるよう」
主人の声を合図にして、忽ち聞こゆる物音は貝鐘太鼓鬨の声! 軍馬の蹄音ガッガッとして、大軍一時に寄せる気配!
五右衛門、権六、常陸、右門、思わず「呀」と声を上げ、総立ちのように立ち上がった。
「忽然起こるあの物音は?」
「武者押しの音と極わまった!」
「かかる深山幽谷に、大軍の寄せる筈はない!」
「変化の仕業か狐狸の業か?」