Japanische Klassiker mit Furigana
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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
Lesen Sie 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 335.908 Zeichen · 669 Bildschirme
「あッ」と叫んで白虎太郎は、初めて眼を開け正気となり、四辺をグルグル見廻わしたが、
「や、あなたはオースチン老師!」
「黙れ!」
と老師は一喝しひょいと指を一本出し、太郎の眼前へぴたりと据えた。すると、怪しいかな、太郎の眼は、その指先に引き付けられ、他へ向こうとしても向くことが出来ず、幽かに唸るばかりであった。
老師は指をそろそろ動かし眼前一尺の前まで来た時、パッと四本ながら指を開き、彼の眼の前でその指をグルグルグルグル車輪のようにしばらくの間廻わしていたが、次第次第に白虎太郎は二つの眼を固く閉じたのであった。
「ご老師」と数馬は余りの不思議に、オースチン師を呼び掛けた。
「何と致されたのでござりまするな? 此奴眠ったのでござりまするかな?」
すると老師は莞爾と笑い、
「さよう、太郎は眠りました。すっかりいい児になりました」
「ははあ、それでは、この術こそは一個の妖術にござりまするな」
「ただこれは人を眠らせる術。すなわち眠りを催させる術。催眠術とでも申そうかの。いやいや決して東洋流の蟇の妖術、蛇の妖術、もしくは真言秘密の術、さようなものではござらぬて、これから愚僧が何をするか、ゆるゆるそこでご覧なさるがよい」