Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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つたかずらきそのかけはし

蔦葛木曽棧

国枝 史郎

Lesen Sie 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 335.908 Zeichen · 669 Bildschirme

Aozora Bunko

「さあそれがどうなるものやら、妾にも解らないのでございますわ」

「それは不思議でございますね」

「はい不思議でございます」

「それに致しても京都から、こんな山奥の古田などへ何んでおいでなされました?」

「さあ何んで参りましたやら、妾にも解らないのでござります」

「それは不思議でございますね」

「はい不思議でございます」

「ハハハハ、これは面白い!」

「ホホホホ、面白うございましょう」

「さては私をお嬲りなさるそうな」

粂太郎はムッとした。

しかしお銀は驚きもせず、ただ艶かに笑うばかりである。

林で誰か木を伐っている。カーン、カーンとその音が秋の空気へ響き渡り、湯槽へ落ちる湯の音が、トコトコトコトコと聞こえて来る。山里らしい静けさである。

「妾などよりあなたこそ、こんな辺鄙な山里へ、何んでおいでなされました」

不思議そうにお銀は訊いた。

「はい、そのことでございますか、実は故郷の名産の甲斐絹を持って諸方を廻わり、付近の小千谷まで参りましたついで、温泉があると聞きまして、やって参ったのでございますよ」

お銀粂太郎

「おおそれではあなたのお故郷は、あの甲州でございますか」

「甲斐の甲府でございます」