Japanische Klassiker mit Furigana
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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
Lesen Sie 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 335.908 Zeichen · 669 Bildschirme
陰々たる鐘の音
「議論二派に別れまして、取捨選択に迷いおります」
「そうか」と城主は眼を閉じた。「では決定しないのか?」
「はい、さようでございます」
「それでは優柔不断ではないか。早く決定するがよい」
「議論の余地とてはございません。願わくばご城主ご自身において、ご決定願いとう存じます」
「なるほど」
と城主は頷いた。それから沈痛の面持ちをした。彼は芝居をしているのであった。
城主は暗然と云い出した。
「それはな、残酷というものだ。何故というにこの事件が俺の娘に関しているからだ。ところで俺の娘だが、非常に美しく利口だ。これは決して自慢ではない。それはお前達も認めてくれよう。娘はこの国の偶像として、国民全体から崇められている。それもお前達は認めてくれよう。だから俺は云うまでもなく、その娘を愛している。おお限りなく愛している! だからこの俺の本心からすれば、獣人国の酋長なぞへ、なんで娘をやられよう。俺は厭だ! 俺は厭だ! ……がそうなったら戦争だ! 流血の惨死人の山! 俺の大事な人民達が、犬のように、端から殺されなければならない! そうして美しい麗人国は、その美しさを失わなければならない! もし敗けたらどうなると思う! 一族離散だ! 国家滅亡だ! 二度と麒麟山へは来ることが出来ない。