Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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つたかずらきそのかけはし

蔦葛木曽棧

国枝 史郎

Lesen Sie 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 335.908 Zeichen · 669 Bildschirme

Aozora Bunko

「珍らしいことでございませんな」

「そこで俺はその女を、専有しようとかかったのだ」

「成功なされたでございましょう」

「もう一歩だった。もう一歩だった。ところがそこへ邪魔物が出た」

「惜しいことでございました。いったいどういう邪魔物で?」

「俺の娘が出て来たのさ」

「ははあなるほど、お姫様が」

「刺繍を俺へ見せようとしてな。で、俺はその刺繍を、どんなに呪ったかしれない。……だが姫は俺の唯一の苦手だからな」

「やれやれお姫様が出て来られて、ホッと私も安心しました。そこへお姫様が出なかろうものなら、相手を専有した経緯を、いずれ殿にはこの私へお話しなさるでございましょう。聞き手にとってはいい迷惑で。……いや実際お姫様は、よいところへおいでくださいましたよ」

「俺にはあんまりよくなかった。恐ろしくムシャクシャしたものさ。姫奴、さっとその女を、自分の部屋へ連れて行き、俺の自由にさせなかったからな。……俺の心機は一転した。美の陶酔を振り払い、功利的に用いようと決心したのさ」

ここで城主は舌なめずりをした。

「山津主これでも解らぬかな?」

「さよう」と云ったが山津主は、変に曖昧な表情をした。