Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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たいらのまさかど

平の将門

吉川 英治

Lesen Sie 平の将門 (たいらのまさかど) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 232.193 Zeichen · 463 Bildschirme

Aozora Bunko

「往年の約とは」

「和主と純友とが、杯をあげて誓ったとかいう――叡山の約だ」

「待ってくれ。べつに、おれは何も、約束はしないが」

「いや、純友は、打ちあけた。おれだけにはと、その秘密を」

「そうかなあ……。そうかなあ? あの時」

将門は、首をかしげた。

共に、酒中、虹のような気を吐いた事は覚えている。純友が、腐敗貴族をののしり、慨世の眼じりをあげて、塗炭の民を救えとか、救世の慈父たらんとか、くだを巻くようにいったのも、記憶にはないことはない。

けれど、それは、純友の十八番なのだ。酔えば必ず出る語気や涕涙であって、叡山の日と限ったことではない。ひとつの慷慨癖だろうくらいに将門は受けとっていた。多少、自分の方にも、世にたいして、彼と同様な、不平や憤慨もあるので、飲むにも、歌うにも、怒るにも、伴奏的な乾杯はしたが、天下顛覆の密盟などを、そんな酔中に、あっさり結ぶわけもない。それを「叡山の約」などと、物々しく、今ごろ持ちこまれては、まごつかざるを得なかった。将門は、返辞に困った。

「むむ。……そういえば、純友は、大望めいた事をよくいっていたが、瀬戸内で海賊を働いた前科もあるから、おれは、その事かと聞いていたのだ。