Japanische Klassiker mit Furigana
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たいらのまさかど
平の将門
吉川 英治
Lesen Sie 平の将門 (たいらのまさかど) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 232.193 Zeichen · 463 Bildschirme
紫陽花の君
ああ、おれは国香の書状に書かれたとおり、ほんとに、愚鈍な生れかもしれない」
彼は、自分の馬鹿にも、気がついて来た。
紫陽花の君
忠平はよく肥っている。ぶよぶよな餅肌だった。そこで、小一条の左大臣は、夏まけのお質といわれ、宮中の定評にもなっている。当人もそれをよいことにし、よほどな政務でもないかぎり、真夏の参内はめったにしない。
しかし、小一条の館の管絃は、毎晩のようであった。宴楽には、倦むことを知らないらしい。もっとも、加茂川の上流から三十六峰は庭のうちのようだし、泉殿や釣殿の下には、せせらぎを流して、ここでは、暑さをいう遑もあろうはずはない。殊に、紫陽花の壺は、対ノ屋から長い渡り廊下をへだて、内裏の弘徽殿も及ばない構造といわれている。
むかし、河原左大臣源融は、毎月二十石の潮水を尼ヶ崎から運搬させ、その六条の邸にたたえ、陸奥の塩釜の景をうつして、都のたおやめを、潮汲みの海女に擬し、驕奢の随一を誇ったというが、忠平には、それほどばかな衒気もない。むしろ、実質主義である。紫陽花の壺には、たったひとりの佳人しか、かくまっていない。
佳人の名は、壺(庭、建物の称)の名をとって、紫陽花の君とよばれている。