Japanische Klassiker mit Furigana
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たいらのまさかど
平の将門
吉川 英治
Lesen Sie 平の将門 (たいらのまさかど) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 232.193 Zeichen · 463 Bildschirme
掠奪
将平も、そうせい。――ところで、兄者人。兄者人の恋人は、いつお迎えしますか。野霜へ、桔梗どのを、攫いにまいる夜は、ぜひ私も、連れて行ってください」
「兄者人。――私も」
と、将平もまた、兄へ迫った。
掠奪
まだ、野も丘も、冬枯れのままだった。如月初めの風は、ひょうひょうと葦の穂に鳴り、夕方、こぼれるほど落ちた霰が、野路にも、部落の屋根にも、月夜のような白さをきらめかせている。
――その日。伏見掾の家は、終日、ひそやかだった。翁も弟子も、仕事についた様子もない。
夕餉の一刻には、親娘して、そっと、土器で杯が酌みかわされ、桔梗の母なる媼は、瞼をぬぐい通していた。
彼女は、化粧した。泣き腫れた顔を、幾たびも、鏡にむかって直した。
弟子たちは、裏表を、見張っている。
――やがて、遠く野の中で、松明を振るのが見えた。
「……では」
と、にわかに、翁も媼も、家中して、ざわめいた。
「しずかに。……静かによ」
涙ながら、桔梗の姿を、土塀門の小さなくぐりから、送り出すのだった。桔梗は、うす紅梅、緑、白、紫と襟色を重ねた小袿を着、つややかな黒髪をうしろに下げていたが、親の家の門を、幾歩か、出ると、その黒髪も小袿の袖も、空へ舞いちぎられるように、赤城颪しに吹かれていた。